「建設コンサルタントってどんな仕事?」
「建設コンサルタントはどんな会社があるの?年収は?」
「建設コンサルタントはきつい、ブラックだからやめとけ」
このように、建設コンサルタントとはどんな仕事か、具体的な仕事内容、大手企業10社の年収をランキング形式で解説します。
この記事では、建設コンサルタントについてネガティブなイメージをお持ちの方も、実は待遇改善・ステップアップの転職に有利な理由がわかります。
現在、建設コンサルタントの企業で働いている方も、これから転職してみたい方も、建設コンサルタントがポジティブな職業になるので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
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目次
建設コンサルタントが転職に有利な理由は「資格」と「マネジメントスキル」
建設コンサルタントのセカンドキャリアとして、建設業界だけでなく、他業界も含めて幅広く転職先が見つかりやすいです。
建設コンサルタントの会社の多くは「測量業」「地質調査業」と兼業しています。そのため、資格取得に関する補助などを積極的です。
取得する人が多い資格として下記などがあります。
また、ダムや橋、道路といった大きい仕事をするため、公官庁や民間企業だけでなく、様々な業種・業者が関わることになります。そのため、それぞれの調整を行う「マネジメントスキル」が身につきます。
そのうえ、長い間新規の求人が少ない状況が続いていたため、建設コンサルタントの従業員の平均年齢が40〜50代となって、20〜30代の若者が少なくなっています。企業の継続のために求人も増えてきています。
建設業界の待遇改善に、国もさまざまな取り組み・法整備をしてきています。これから建設業界全般が改善していくでしょう。
つまり、建設コンサルタントは売り手市場の状況です。
例えば、建設業界の求人では、建築コンサルタントの経験が重宝されています。建設業界に特化した「トントン」には、待遇の良い求人が多いです。どれほどの待遇があるか確認してみてはいかがでしょうか?
次からは、建設コンサルタントとはどんな仕事か、なぜ転職に有利なのかを詳しく解説します。
建設コンサルタントとは?
建設コンサルタントとは、「社会資本」や「インフラ」の整備を総合的にプロデュースやアドバイスをし、クライアントをサポートする仕事です。
具体的には道路や橋、河川、鉄道、空港、まちづくりなどの事業に関する、調査や計画・設計を行います。
社会資本の整備は、一般的には事業主体である国や地方自治体などが発注をします。建設コンサルタントが調査や計画・設計をし、実際に工事をするのはゼネコンなどの建設会社です。
大雑把にわけると、
- ビルなどの建物の設計は建築士
- それ以外は建設コンサルタントが設計
を行っています。
また近年は、建設コンサルタントの活躍の場は国内にとどまりません。「社会資本」や「インフラ」が整っていないアジア・アフリカなど、世界中の国が対象となってきています。
また、似た職種で土木コンサルタントもあるため、建築関係のコンサル業務に興味がある方は併せて確認しておきましょう。
建設コンサルタントの仕事内容
建設事業の工程は、『企画、調査、計画、設計、施工、管理』と進められます。建設事業は「設計・施工分離の原則」に基づき、「施工」は建設業、「企画・計画・調査・設計」は建設関連業とされており、建設コンサルタントは後者の建設関連業に入ります。
建設関連業は、測量業・建設コンサルタント・地質調査業と分かれますが、それぞれを専業で行うより、これらを兼業で行う会社が比較的多いです。
そのため、会社によっては建設コンサルタントだから設計しかしないわけではなく、測量業、地質調査業にも関わることになります。
■「企画・調査」
建設事業の工程の「企画・調査」は、測量調査、地質調査、環境調査など、事業の実現性や採算性を図るための事前調査や、設計に必要となる詳細な調査を行います。
■「計画」
「計画」では、事前調査をもとに計算や作図をします。事業の計画・実行するために、どのように進めるかを具体化していく事業です。発注者の要望をしっかりとすり合わせていくことになります。
■「設計」
「設計」では、実際に工事で必要になる設計図の作成、材料の調達や工事の費用を計算し、工事に必要な作業を取りまとめます。
■「施工・管理」
実際の工事である「施行」は、建設業者が行うので、発注者が建設業者に依頼します。その後の施行管理、運営維持管理支援と呼ばれる「管理」の業務もすることになります。
建設コンサルタントに必要な資格
建設コンサルタントに関わる資格は、実務経験が必要な資格がほとんどです。
文部科学省が認定する「技術士」や建設コンサルタンツ協会が認定する「シビルコンサルティングマネージャー(RCCM)」があります。
ただ、建設コンサルタントの仕事は多岐にわたるため、調査・設計・計画を行う上で欠かせない測量や地質調査、環境調査などに関連する資格があれば重宝されます。
他にも、機械工学や電気工学を学び設備設計や、一級建築士の資格を取得し建築設計をする人なども活かせる資格でしょう。
また、建設コンサルタントの仕事は幅広いため、建設事業工程ごとの向いている人をまとめると、次のようになります。
【調査】
・野外作業が野外作業が好きな人や体力に自信のある人
【計画】
・分析や計算が好きな人
・想像力・説明力・交渉力に自信がある人
【設計】
・図面作成や材料計算で細かな作業に自信がある人
建設コンサルタントのやりがい
建設コンサルタントとしてのやりがいは、社会貢献ができることです。自分の設計したものが形になり、みんなの暮らしに役立つ、社会から求められる仕事だからです。
発注者は国や地方自治体が企画する公共事業が多く、「社会資本」「インフラ」として半永久的に人々の生活を支えることになります。
日本の道路や橋、ダムなどの公共事業の多くは、高度経済成長期に建設されており、50年近く経過して老朽化しています。
点検や維持管理、更新など、建設コンサルタントの仕事は今後ますます重要性を増していきます。公共事業を扱う建設コンサルタントの仕事は尽きることがありません。
また、近年はワーク・ライフ・バランスの実現に向けて、「ノー残業デー」「育児・介護支援」「休暇取得の促進」「労働時間の短縮」「フレックスタイム制」等の施策が進められています。より働きやすい環境に変わってきていることも魅力です。
建設コンサルタントの大手企業の年収ランキング
建設コンサルタントの平均的な初任給は22.5万円(月額)です。基本給のほか資格手当なども支給されます。
また、建設コンサルタントの平均年収は630万円です。国内の業界全体でも、建設業界でも高めの年収といえます。
ここでは、建設コンサルタントの大手企業のうち、2021〜2022年の従業員の平均年収をランキング形式でまとめました。
ランキング内の企業すべて、前年比で横ばい、もしくは上昇傾向にあります。また、平均年齢が40〜50代と比較的高めです。若者に売り手市場であることの参考にもしてください。
1位:株式会社建設技術研究所
売上高 | 平均年収 | 従業員数 | 平均年齢 |
---|---|---|---|
744億円 | 903万円 | 1,815人 | 43.0歳 |
2位:株式会社構造計画研究所
売上高 | 平均年収 | 従業員数 | 平均年齢 |
---|---|---|---|
147億円 | 876万円 | 621人 | 41.8歳 |
3位:E・Jホールディングス株式会社
売上高 | 平均年収 | 従業員数 | 平均年齢 |
---|---|---|---|
366億円 | 866万円 | 26人 | 54.9歳 |
4位:株式会社NJS
売上高 | 平均年収 | 従業員数 | 平均年齢 |
---|---|---|---|
193億円 | 826万円 | 556人 | 43.0歳 |
5位:日本工営株式会社
売上高 | 平均年収 | 従業員数 | 平均年齢 |
---|---|---|---|
1,306億円 | 765万円 | 2,663人 | 42.2歳 |
6位:いであ株式会社
売上高 | 平均年収 | 従業員数 | 平均年齢 |
---|---|---|---|
206億円 | 713万円 | 934人 | 44.4歳 |
7位:オリジナル設計株式会社
売上高 | 平均年収 | 従業員数 | 平均年齢 |
---|---|---|---|
62億円 | 713万円 | 302人 | 39.8歳 |
8位:株式会社オオバ
売上高 | 平均年収 | 従業員数 | 平均年齢 |
---|---|---|---|
159億円 | 711万円 | 472人 | 41.6歳 |
9位:応用地質株式会社
売上高 | 平均年収 | 従業員数 | 平均年齢 |
---|---|---|---|
516億円 | 876万円 | 1,191人 | 44.9歳 |
10位:株式会社ウエスコホールディングス
売上高 | 平均年収 | 従業員数 | 平均年齢 |
---|---|---|---|
137億円 | 693万円 | 17人 | 45.8歳 |
建設コンサルタントはやめとけ?
「建設コンサルタントはきつい」
「建設コンサルタントはブラックだ。やめとけ」
といったネガティブなことを聞いたことがある方も多いです。
なぜそう言われてしまうのかの理由をまとめると次の通りです。
- 残業が多い
- 休日出勤がある
- 給与が低い
- 人間関係が大変
- 事業の責任が重い
これらは建築業界全般にも言われることとほぼ同じです。なぜなら、多くの発注者は国や自治体であり、工期が年度末を超えることができないという理由があります。
具体的には、建設コンサルタントは野外の仕事が多いので、天候に左右されてしまいます。また、多くの現場の職人とクライアントからの板挟みになりがちなので、お互いの無茶な依頼を調整しないといけません。
責任の重い公共事業なので、工期に間に合わせるための残業や休日出勤が多くなり、給料が見合ってないとなってしまいます。
しかし、国はこれらを是正するため、令和5年度(2023年度)から次の4つの施策を実施すると正式に発表しています。
- BIM/CIM(事業を3次元で可視化し、生産性の向上・合意形成・情報共有の効率化)
- CCUS(建設キャリアアップシステム)
- 建設業退職金共済制度
- 社会保険の加入確認
これらは、事業や業務の効率化で従業員の労働時間などの待遇の改善を図るのが目的です。
また、2019年度から実施している「働き方改革」があります。
猶予期間が設けられていた建設業も令和6年度(2024年度)から法律が適用されるため、年々待遇改善していくので、より働きやすくなるでしょう。
建設コンサルタントがなくなる?
「公共工事が減るので建設コンサルタントの仕事がなくなるのでは?」と心配されている方もいるでしょう。
今後数年間をみると、オリンピック、万博などの国家規模のイベント関連で、道路などの交通インフラ、都市計画などで建設コンサルタント業界は堅調に推移していきます。
また、日本の道路や橋、ダムなどの公共事業の多くは、高度経済成長期に建設されており、50年近く経過して老朽化しています。点検や維持管理、更新など公共事業を扱う建設コンサルタントの仕事がなくなることはありません。
そのうえ、近年の災害が甚大化してきており、防災にも国民の関心が高まっているのも追い風といえるでしょう。
しかし、長期的にみると人口減少などで公共事業の予算が減ることは確実視されています。そして最近の10〜15年では、建設関連業である測量業・建設コンサルタント・地質調査業のうち、測量業の企業が700社ほど大きく減ってきています。
そのため、アジアやアフリカといった日本以外の国に進出しています。
また、多くの企業は事業の多角化も進めています。発電事業にも参入したり、ITサービスとの連携で、街づくりからコンサルティングする企業もでてきたりしています。
つまり、建設コンサルタントのマネジメント力が、他のビジネスに活かすようになってきているのです。
最近では、建設コンサルタントの新規の求人も増えてきています。若い人の求人を長い間減らしていたこともあり、従業員の平均年齢が40〜50代となってきています。建設業のネガティブなイメージも重なって、人が集まらなくなってきています。
次世代を担う20〜30代の若手の求人が多いので、待遇も改善せざるをえない状況でもあります。売り手市場となってきているので、チャンスがめぐってきているといえます。
建設コンサルタントから転職・ステップアップを目指す
公共事業がなくならないので、建設コンサルタントがなくなることはありません。
ステップアップのために、海外で活躍の場を広げようとする企業へ転職も可能です。現状の待遇を改善をするため、転職によって叶えることも可能です。
具体的には、
- 大手の建設コンサルタントから、中小の建設コンサルタントへ転職
- デベロッパーへの転職
で、年収アップなどの待遇改善が望めます。
大手建設コンサルタントから中小の建設コンサルタントへ転職
大手と比べて中小の建設コンサルタントは、比較的年収は少なくなる傾向です。しかし、働き方の融通がききやすいことがメリットです。
地方の建設コンサルタントであれば、大手と比べて満員電車での通勤や転勤が少ないです。在宅勤務や出来高制などの就業形態といった働き方も可能な企業もあります。
建設コンサルタントからゼネコンへ転職
ゼネコンは年収アップが望めることが多いです。
大手のゼネコンの場合、新卒や学歴などの足きりにあうことがあります。しかし、建設コンサルタントとしての実力があれば、中途採用も可能です。
中小のゼネコンでも、高い評価をされることが多いので、年収アップが望めます。
ただし、建設現場や転勤などによっては、長期で同じ場所で働けないことがあります。きつさが変わらない場合もあるので、確認が必要でしょう。
まとめ
建設コンサルタントは、「社会資本」「インフラ」の整備といった、社会貢献ができることがやりがいの一つです。将来にわたってなくなる仕事ではないし、マイナスな環境も是正されていく状況にあります。
建設コンサルタントで長く働くことも、ステップアップとして働くこともおすすめです。なぜなら、働いて培ってきた「資格」や「マネジメントスキル」を活かせる場所が多いからです。
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