宅地建物取引士(宅建)とは?仕事内容から試験の難易度、転職に有利な理由まで解説

「宅建ってどんな仕事をするの?」
「宅建の資格を取るのは難しい?」
「転職に有利になるのだろうか?」

「宅建」の名前は一度は聞いたことがあっても、このように疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

何か資格を取ってキャリアアップしたいと思っている方にとって、宅地建物取引士(宅建)は大きな武器になります。

宅地建物取引士(宅建)の仕事内容、宅建試験の科目や合格率、勉強方法。

さらに宅地建物取引士が活躍できる業界など、参考になる情報をいろいろな角度から詳しく解説していきます。

宅地建物取引士(宅建)に興味を持っているかたは、ぜひ最後まで読んでみてください。

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宅地建物取引士(宅建)とは?

宅地建物取引士(宅建)がどんな仕事をするのか、詳しく知らないという方もいるでしょう。

はじめに、宅地建物取引士(宅建)の基本的な内容について紹介します。

宅地建物取引士(宅建)は国家資格

宅地建物取引士(宅建)とは、主に不動産業で働くときに必要とされる国家資格です。

不動産の売買や賃貸契約などの取引においては、宅地建物取引士しかできない業務があります。

不動産に関しての専門知識が少ないお客様に対して、契約に関わる重要な情報を伝えることで公正な取引ができるようにサポートする役目といえます。

宅地建物取引士として働くには登録が必要

資格試験に合格すれば、すぐに宅地建物取引士として仕事ができるわけではありません。

宅地建物取引士として仕事を行うためには、試験合格後に受験した試験地の都道府県の登録を受ける必要があります。

登録するには2年以上の実務経験が必要ですが、2年未満の場合は実務講習を修了すれば大丈夫です。

宅地建物取引士の登録に有効期限はないので、タイミングがいい時に登録をするのが望ましいでしょう。

宅地建物取引士(宅建)の仕事内容

不動産取引において、宅地建物取引士はどのような仕事をするのか、ここからさらに詳しくみていきましょう。

宅地建物取引士(宅建)の独占業務

不動産の取引を行うときは、宅地建物取引士しかできない以下の3つの独占業務があります。

  1. 重要事項の説明
  2. 重要事項説明書(35条書面)への記名・押印
  3. 契約書(37条書面)への記名・押印

ひとつずつ解説していきましょう。

重要事項の説明不動産を購入しようとする人、借りようとする人がその物件のことをよく把握しないまま取引してしまうと、後になって思わぬ損害を被ったりすることがあります。
そこで、取引物件に関するさまざまな内容について、宅地建物取引士が取引相手に内容を説明する必要があります。具体的には登記、敷地面積、契約の解除方法など多岐にわたります。これが重要事項の説明です。
この説明事項が記載された重要事項説明書については、不動産取引におけるトラブルを未然に防ぐため、必ず宅地建物取引士が説明することになっています。
重要事項説明書(35条書面)への記名・押印重要事項の説明だけでなく、重要事項説明書への記名・押印も宅地建物取引士にしかできない仕事です。
重要事項説明書への記名・押印は、記載の内容に責任を持つという意味を表します。
契約書(37条書面)への記名・押印重要事項の説明のあとは、実際に不動産取引の契約書を交わすことになります。契約書は代金や支払い方法、引き渡しの時期などさまざまな取り決めを証明するために、非常に重要な書面です。
この契約書への記名・押印も宅地建物取引士しかできない仕事です。

宅地建物取引士のやりがい

一般の人にとってマイホームの購入は、生涯で一番の大きな買い物でしょう。そのため、購入するときはじっくり検討して契約内容をきちんと理解して進めたいのは当然のことです。

宅地建物取引士のやりがいの源は「不動産の重み」です。

不動産の契約締結までの間に行われる業務は、まさに宅地建物取引士がいないとできません。無事に取引が完了した時には、お客様からものすごく感謝されます。

その他にも不動産には、どれ一つとして同じものはない多様な物件があります。

そんな時に、宅地建物取引士として調査や下見、お客様へのご案内という名目で、物件の中身を見ることができるのは、不動産が好きな人にとってはたまらない面白さを感じるでしょう。

「宅地建物取引士(宅建)」資格試験について

ここからは、宅地建物取引士(宅建)試験について詳しく解説していきます。

受験資格

受験資格に制限はありませんので、どなたでも受験できます。

受験費用

8,200円

受験日程

受験申し込み申請は、毎年6月初旬頃に告知されます。公式ホームページをチェックし、申込開始から試験までのスケジュールを確認するようにしましょう。

例年の流れは以下のとおりです。

  • 6月:実施概要告知
  • 7月:受験申込(郵送・インターネット可)
  • 8月:試験会場の決定(47都道府県)
  • 9月:受験票の送付
  • 10月:試験の実施
  • 12月:合格発表・合格証書の送付

出題形式

マークシート(4肢択一式):50問(1問1点)

試験科目

宅地建物取引士(宅建)試験の試験科目は4つに分類されます。

主な内容は以下のとおりです。

科目出題数内容
宅建業法20問宅建に関しての定義、法律、免許や報酬など
権利関係14問民法、借地借家法、不動産登記法など
法令上の制限8問国土利用計画法、都市計画法、建築基準法など
税金その他8問地方税、国税など税金に関する内容など

試験科目数は4つで問題数も少ないと思われがちですが、出題される法律の種類は多岐にわたるため、勉強する範囲も広くなります。そのため、優先順位をつけながらメリハリをつけた勉強が必要になってきます。

更新

宅地建物取引士(宅建)試験に合格すると、効力は一生涯続きます。

しかしながら不動産取引時に必要な宅地建物取引士証は、5年に1度の更新が必要になることを覚えておきましょう。

宅建業法では「重要事項の説明を行うとき」や「不動産取引に関し取引関係者から請求があった場合」に、宅地建物取引士証の提示が義務付けられています。

万が一、更新を忘れてしまったときは、宅地建物取引士証の再交付の手続きを行なわなければなりませんので注意が必要です。

「宅地建物取引士(宅建)」試験の合格率や難易度

資格取得をするにあたって、「資格取得はどれくらい難しいのか」「合格率はどれくらいなのか」が気になりますよね。

データを確認しておきましょう。

合格率

宅地建物取引士(宅建)試験の合格率は15~17%、合格基準点は年度によってバラツキがありますが50点満点中35点前後です。

以下の表は、直近10回の合格率と合格基準点の推移です。

年度受験者数合格者数合格率合格基準点
2021年度(12月)24,965人3,892人15.6%34
2021年度(10月)209,749人37,579人17.9%34
2020年度(12月)35,258人4,609人13.1%36
2020年度(10月)168,989人29,728人17.6%38
2019年度220,797人37,481人17.0%35
2018年度213,993人33,360人15.6%37
2017年度209,354人32,644人15.6%35
2016年度198,463人30,589人15.4%35
2015年度194,926人30,028人15.4%31
2014年度192,029人33,670人17.5%32
出典:一般財団法人不動産適正取引推進機構 試験実施状況

難易度(他資格との合格率比較)

他の法律系国家試験と比べて、宅地建物取引士(宅建)試験の難易度は中程度といえます。

以下の表で確認してみましょう。

資格合格率
宅建士15~17%
行政書士10~12%
弁理士6~9%
社労士6~7%
司法書士4~5%

合格率を見れば難易度は高くないと思われますが、きちんと勉強しないと簡単に受かる試験ではありません。

宅地建物取引士(宅建)の勉強方法

宅地建物取引士(宅建)の勉強時間の目安は200~300時間といわれています。

当然受験生の知識や経験量によって変わってくるでしょう。

勉強のやり方については、大きく3つの方法に分けられます。

  • 独学:参考書、問題集を買って自分で勉強する
  • 通学:資格学校に通って受講する
  • 通信:通信講座を受講する

3つの方法には、それぞれメリット・デメリットがあります。

以下に紹介してみますので、自分に合った勉強方法を選んでみてください。

独学のメリット・デメリット

メリット自分のペースで勉強できる費用は参考書、問題集のみ
デメリット計画が立てにくい不明点の質問ができないモチベーションを維持するのが難しい

通学のメリット・デメリット

メリット直接指導を受けながら勉強できるモチベーションが維持できる不明点が質問できるカリキュラムに沿って学習できる
デメリット受講費用が高額になる通学時間や交通費がかかる自分のペースで進めることはできない

通信のメリット・デメリット

メリット試験対策に沿ったテキストで勉強できる不明点が質問できる通学時間や交通費がかからない自分のペースで勉強できる
デメリット独学よりは受講費用がかかるモチベーションを維持するのが難しい

宅地建物取引士(宅建)取得は転職で有利になる

宅地建物取引士(宅建)を取得すれば転職に有利になります。

その理由を詳しく解説していきましょう。

不動産業は宅地建物取引士の設置義務がある

不動産業は5人に1人の割合で宅地建物取引士を雇わなければいけないことが、宅建業法で定められています。

つまり、不動産業を営む会社にとって宅地建物取引士は欠かせない存在です。

当然、会社の規模が大きくなればなるほど、多くの宅地建物取引士が必要になってきます。

不動産業以外の業種でも宅地建物取引士が求められている

宅地建物取引士の需要は不動産業界だけとは限りません。

例えば建設会社や金融機関では、不動産に関連する仕事もあるため、宅地建物取引士が求められています。

また、宅地建物取引士として仕事をしていれば、お客様は高齢者から若者まで幅広いため、必然とコミュニケーション能力が培われます。

もし、未経験の業種へ転職しようと考えているのであれば、面接ではこれまでの宅地建物取引士としての経験から、コミュニケーション能力をアピールできるでしょう。

さらに、民法や税法などの知識は他の業種でも活かすことができるため、資格を持っていれば転職に有利になるといえます。

宅地建物取引士(宅建)を活かせる業界・求人例

ここからは、宅地建物取引士(宅建)を活かせる業界・求人例について詳しくみていきましょう。

求人例はあくまでも数ある求人のひとつですので参考情報としてみてください。

ゼネコン

ゼネコンでは、自社で建設した建物を販売するところも多く、不動産を販売するためには宅地建物取引士が必要です。

自社で建設した建物であれば、販売時に建物の良さを十分にアピールできるため、建設から販売までトータルに自社物件を扱えるのは大きなメリットになります。

当然、不動産仲介会社を介在させる必要がなくなるため、コストが抑えられます。

ゼネコンの営業・不動産スタッフ求人例

  • 仕事内容:顧客(民間・官庁)への土地活用を含む建築コンサルティング営業など
  • 年収:500~800万円

ハウスメーカー

ハウスメーカーもゼネコンと同じように自社で建築した物件を販売まで行うことがあります。

ハウスメーカーの営業職へ転職する場合には、コミュニケーション能力も必要になってくるでしょう。

宅建の知識とコミュニケーション能力があれば、お客様に信頼感や安心感を与えることができます。

ハウスメーカーの営業スタッフ求人例

  • 仕事内容:住宅展示場における接客や営業など
  • 年収:500~700万円

金融

金融機関では、不動産を担保にして融資することが多く、融資の判断基準として不動産の価値を評価します。

不動産の価値を評価する際には、宅地建物取引士の知識が役に立ちます。

またグループに不動産販売会社を持つ金融機関も多く、不動産販売会社に籍を置いていても知識を活用できます。

大手金融機関の不動産コンサルティング営業求人例

  • 仕事内容:不動産の課題解決など顧客への戦略提案など
  • 年収:500~1,000万円

宅地建物取引士(宅建)取得で年収はどうなる?

宅地建物取引士の年収についての公的なデータはありません。

宅地建物取引士の多くは不動産業に勤務していることから、厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」から不動産業の年収データを確認してみると、およそ450~500万円といえます。(ただし企業規模、年齢、地域などによっても幅があります)

出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」

ここからは、宅地建物取引士の年収の特徴を紹介してみましょう。

地域格差が大きい

不動産の物件数は、都市部ほど多くあり価格も高くなります。そのため、地域によって扱う金額も格差が生じるため、収入も連動してきます。

高収入を望むのであれば、都市部で働くほうがいいでしょう。

景気に左右されやすい

不動産は景気によって、需要と供給に変化がうまれます。

言うまでもなく好景気のときは物件が売れて収入に直結してきますが、不景気のときはその逆になります。

不動産業には、販売会社だけでなく管理会社など景気の波に左右されないところもあるので、選択肢として覚えておきましょう。

実力主義になりやすい

勤務する会社の給与体系にもよりますが、完全歩合制など実力主義を採用している会社が多いです。

成果を出した分だけ収入に跳ね返るためやりがいが生まれますが、プレッシャーも大きくなるでしょう。

そのため、働き方のスタイルをよく考えて会社を選ぶのがおすすめです。

独立開業すれば年収を上げられる

宅地建物取引士(宅建)を取得すれば、独立開業するという選択もあります。

独立すれば当然仕事で得た収入は全て自分のものになるでしょう。

ただし、独立開業は簡単なことではありません。初期費用がかかったり、顧客の獲得も全て自分一人で行わなくてはなりません。

これらのことも全て慎重に判断したうえであれば、独立開業という夢を追いかけるのもいいかもしれません。

まとめ

本記事では、宅地建物取引士(宅建)について、いろいろな角度から参考となる情報を紹介してきました。

独占業務をはじめ、不動産業を営むためには5人に1人以上の専任の宅地建物取引士が必要なことから、不動産業界で働く人にとって必要不可欠な資格です。

宅地建物取引士(宅建)試験は合格率の低い15~17%であるため、取得するにはそれなりの勉強が必要です。

しかし、資格を取得すれば、不動産業界だけでなく、他の業界でも活躍することができるので、将来性を考えるととても強い武器になるでしょう。

宅地建物取引士(宅建)の資格取得を考えている方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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