工務店とは? 転職・就職時に気になる仕事内容や年収・将来性について

一戸建て住宅を建てているのは、大手のハウスメーカーが26%、残りの74%は中小規模の工務店といわれています。つまり、実際に家づくりの現場に携わるのは圧倒的に工務店が多いのです。

今回は工務店への転職・就職時に気になる仕事内容と年収、将来性について解説します。

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工務店とは?

工務店とは

工務店のルーツは木造建築に関わる各種の職人集団です。昔は大工の棟梁がリーダーとなっていました。現在工務店と呼ばれる会社は創業者が元職人のケースが多く、社員は数人から数十人程度。年間の建築物着工数は、20棟から30棟程度が目安です。

工務店は、仕事を受注すると各種の職人に声をかけて集め、責任者として現場の総指揮をします。北海道の道南杉や札幌軟石、京都の北山丸太、長野県の鉄平石など、地産地消の木材や石材を用いた工事が多い点も大きな特徴です。

工務店の全国的な組織には、一般社団法人全国工務店協会JBN一般社団法人全国木造建設事業協会が挙げられます。

JBNの役割は、国や自治体の施策に対して工務店業界からの意見や要望を伝えることです。また、若い技能者の育成、経営者向けの研修の実施なども行っています。

全国木造建設事業協会の役割は災害時の大工・工務店の支援です。具体的には被災地に木造応急仮設住宅を建設します。

※義務ではないため、どちらにも加入しない工務店もあります。

なお、工務店の規模が巨大化してハウスメーカーや建設会社へ転身するケースもあります。例えば「竹中工務店」はスーパーゼネコン(大手建設会社)として有名ですし、「一条工務店」は全国規模で展開しているハウスメーカーです。規模が大きいのに社名に工務店と付く企業は、創業当時の屋号の名残りと考えてよいでしょう。

工務店とハウスメーカーの違い

工務店とハウスメーカーには、明確な区別や定義はありません。したがって、あくまでも一般的な傾向になりますが、工務店とハウスメーカーの特徴を比較してみます。

設計・工事住宅設備資材
工務店施主の希望に沿う・自社設計とは限らない施主の希望に沿う地元で調達することが多い
ハウスメーカープランから選ぶプランから選ぶ・またはオプション扱い自社規定・自社開発したもの

ハウスメーカーが日本に定着したのは戦後になってからです。鉄骨やプラスチックといった工業資材を大量生産して、現場でユニットを組み立てるプレハブ工法の高い効率性は、それまでの木造建築に大きな影響を与えました。

住宅設備の選択や資材の加工をゼロから始める工務店は、着工から引き渡しまでの期間がハウスメーカーに比べて長くなります。設計に関しては、特定の設計事務所と連携している場合が多いでしょう。

対象エリアについては、工務店は基本的に地元密着なのに対し、ハウスメーカーは各地に営業拠点を置いた全国展開です。

工務店には種類がある

工務店の種類

全国的に有名な大手の工務店は屋号の「工務店」を残しているだけで、実質的には建設会社やハウスメーカであることは先に説明した通りです。地域に密着した工務店は主に以下の種類で分類できます。

昔ながらの工務店

少人数の施工担当者と経理担当者で構成され、営業活動は兼任。
建築設計士がいない場合は特定の設計事務所と提携している。地元の不動産会社とつながりが深い。

リフォーム重視の工務店

リフォームやリノベーションに特化した工務店。
昔ながらの工務店が新築物件から手を引き、木造建築の技術と知識を生かして転身するケースもある。

下請けの工務店

自ら営業活動はせず、全国展開するハウスメーカーやリフォーム会社の下請け工事に徹する工務店。

こだわり重視の工務店

1.建築設計士が在籍している工務店

高いデザイン性や機能性を重視する。テレワークスペース、自宅兼カフェやスクールといった需要が多い。

2.特定の工法と地産地消の建築資材にこだわる工務店

伝統工法による木組みや土壁、地域の銘木の活用など。

上記の他に、フランチャイズ系のアキュラホームやジョンソンホームズ、ハウスビルダーの遠鉄ホームやアーバンプランニングなどがありますが、「フルオーダーは難しい」という点がハウスメーカに近いので今回は省きます。

以下に、企業のグループ経営ではない地域密着の工務店をピックアップしました。就職・転職する際の参考にしてください。

【全国の地域密着工務店】

北海道東北地方
帯広市 株式会社cube cise
上川郡 キタ・クラフト株式会社
北広島市 有限会社高杉工務店
秋田県 足利建築 
宮城県 ウツミ工務店株式会社 
青森県 有限会社浄法寺工務店

関東地方中部地方
東京都有限会社原島建築 
千葉県 株式会社グラスランチハウス
栃木県 株式会社ケーエムハウス
長野県 株式会社丸二林産
石川県 株式会社スイベル
静岡県 nattoku住宅株式会社

近畿地方中国地方
大阪府 株式会社木又工務店
滋賀県 有限会社藤尾工務店
兵庫県 株式会社ツクダ工務店
岡山県 株式会社近藤建設興業
広島県 永本建設株式会社
山口県 らぼ Halogica

四国地方九州・沖縄地方
愛媛県 ミセスホーム株式会社
香川県 株式会社佐伯工務店
高知県 株式会社ファンハウスアンドデザイン
福岡県 株式会社福岡工務店
長崎県 有限会社本多工務店
鹿児島県 有限会社宮元工務店

沖縄県 株式会社福地組
沖縄県 株式会社琉球住樂

工務店の業種別の仕事内容

工務店の仕事内容

本来の工務店は木造建築の棟梁が率いる大工や職人の集まりでしたが、現代の工務店は「采配」こそがメインの仕事といっていいでしょう。

原因として考えられるのは、昔と比較にならないほど家づくりが複雑になったことです。電気・ガスといったインフラ設備やインターネットの開通工事など、関わる人が増えて手続きも複雑になりました。

ちなみに、工務店の社員にはいわゆる「大工さん」のイメージが強いかもしれませんが、大工がいない工務店も存在します。そういった工務店は、仕事が入ると「ひとり親方の大工さん」、別名「お抱え大工さん」に声をかけます。

現代の工務店の具体的な仕事内容は以下の通りです。

営業活動

仕事の受注はハウスメーカー、設計事務所、不動産業者など、誰かの紹介が大半を占めるため、営業や広報活動のためだけに社員を雇うケースはほぼありません。主な営業ツールは自社のwebサイト、地元の広報誌です。地域イベントへの支援協力も重視します。

設計

創業者が設計士の場合を除き、設計士が在籍している工務店は多くありません。普段から付き合いのある設計士へ依頼します。

采配

  1. 家を建てる前段階となる基礎工事(土木工事)を建設会社に依頼
  2. 施主の予算に沿った資材を建材屋に発注
  3. 施主の予算と希望のデザインに沿った住宅設備をメーカーに発注
  4. 付き合いのある会社やひとり親方に声をかけて職人を集める

【集めなければならない職人】

板金・サッシ・ガラス・金物・サイディング・左官・タイル・塗装・建具・鍵屋・畳・クロス・クリーニング・外構・吹付・上下水道・ガス・電気・空調など

現場作業

  1. 自社の大工および外部の大工を指揮管理する
  2. 各業務の責任者と連携して全体のスケジュール管理と作業を行う

アフターメンテナンス

建てた家のアフターメンテナンスの口コミが次の仕事につながります。

事務・経理

工務店の経理は建設業経理です。建設業経理は日商簿記ができれば問題なく理解できます。また、仮設事務所の手配(電気や電話など)も事務の仕事です。

現場を抱えている期間は、毎日会社と現場を往復することになります。建築現場にはさまざまな人が行き交いますから、お互いにスペースを取り過ぎないよう注意しています。極力機械や工具を置きっぱなしにしないことが大切です。

工務店の年収

工務店の年収

工務店へ就職・転職した場合の年収を想定する前に、日本の平均年収を確認しておきます。

下の表は、国税庁が毎年実施している「民間給与実態統計調査」の2021年度からまとめました。端数は切り捨てています。

【平均年収・職種を問わない】

男性女性平均給与
平均給料・手当460万円262万円377万円
平均賞与86万円41万円67万円
合計545万円302万円443万円

続いて、建設業の平均年収と事業所の規模別でも見てみましょう(2022年11月現在、男女比はまだ未公開)。工務店は10人または30人前後が多いのではないでしょうか。

【平均年収・建設業】

建設業平均給与
平均給料・手当439万円
平均賞与72万円
合計511万円

【事業所の規模別・職種を問わない】

事業所の従業員数男性女性平均給与
1~4人402万円245万円327万円
5~9人474万円268万円381万円
10人未満の合計443万円258万円357万円
10~29人509万円292万円416万円
30~99人502万円302万円421万円

建設業の年収は国民全体の年収よりも高い反面、零細と小中企業は不利になることがわかります。

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工務店に転職する際に有利になる資格

工務店で役立つ資格

転職サイトでは大工の年収が344万〜416万円、施工管理技士は442万円〜461万でした。工務店へ就職・転職するのなら、資格手当で年収の底上げを望みたいところですね。

有利になる資格は以下の通りです。

・普通自動車免許
会社と建築現場の往復があるので、車の免許は必須です。

建築施工管理技士
現場の工程、品質、安全を管理する国家資格です。最近は下位資格の施工管理補から取得するケースが増えています。

建築士、木造建築士
建築士として現場で有利、さらに設計担当者へのキャリアアップが見込める国家資格です。

・木造建築物組立て等作業主任者
軒の高さ5メートル以上の木造建築物の構造部材組み立て、屋根と外壁の下地取付けを行う国家資格です。実務経験3年以上が必要(学歴により変動)。

・建築大工技能士
木造住宅の構造や施工、材料、製図などに関して一定の技能・能力を認められる国家資格です。

受験に必要な実務経験
1級建築大工技能士7年以上(学歴により変動)
2級建築大工技能士2年以上(学歴により変動)
3級建築大工技能士不問

・CAD
施工図や進捗の共有にCADを扱える人材は歓迎されます。CADの資格は数種類ありますが、工務店なら建築図面に特化した民間資格の建築CAD検定試験がおすすめです。

・住宅ローンアドバイザー
施主の予算に応じて見積もりを出す際、住宅ローンの相談に乗ることができる民間資格です。工務店はもともと地銀とつながりが深いので、その関係性を生かせます。

・福祉住環境コーディネーター
高齢者や障がい者が暮らしやすい設計や設備のアドバイスができる民間資格です。

・建設業経理士
建設業には独特の会計ルールと用語があるため、建設業経理という方法を用います。民間資格です。

工務店に転職・就職する場合の将来性は?

工務店の将来性

職人を育てる工務店が減り、一代限りのひとり親方ばかりが増えたこともあり、日本の建築業界は深刻な職人不足に陥っています。今後の工務店は人員の采配だけでなく、再び人材育成と技術継承という役目に立ち戻ることが期待されています。

これまで頑張ってきた高齢のベテラン職人は、体力的にそろそろ引退せざるを得ない状況です。人手が少なくても工事を進めるには、BIM/CIM(ビム/シム)による人員と時間の節約が必要です。

BIM/CIMとは3D画像の活用です。例えば、3Dの施工図をスマホやタブレットで共有すれば、同時に確認や修正ができます。

別な場所にいる現場監督、建築士、各業種の職人が打ち合わせすることも可能です。未経験者が工務店へ就職・転職する場合は、こうしたシステムの基礎知識があると重宝されるでしょう。

続いてここからは、工務店の将来性に関わるキーワード「地産地消」「パッシブデザイン」についてを解説します。

地産地消とウッド・チェンジ

2010年に制定された「木材の利用の促進に関する法律」は、2022年10月に一部改正されて「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」になりました。

何が変わったかというと、今まで公共建築物限定だった木造建築の促進が一般の住宅も対象になったということです。

林野庁は輸入木材の不足から生じる木材価格のインフレを緩和するため、建築資材の地産地消(地材地建ともいわれる)を推奨しています。

現在多くの自治体では地産材の利用に対し補助金や経費の負担制度を設けています。この動きは「ウッド・チェンジ」と呼ばれます。

地域に根ざした工務店は、その土地の気候風土に合わせた建築工法に長けています!

パッシブデザインと木造建築

近年の注文住宅のトレンドワードに「パッシブデザイン」があります。パッシブデザインとは、自然と共生することで省エネルギーを実現するドイツ発祥の概念です。

日が落ちるまで照明をつけなくても明るい状態が維持できるように窓の位置と大きさを工夫したり、吹き抜けを作って空気の通りを改善する建築の仕組みをいいます。

実は日本の伝統的な木造建築は、パッシブデザインに必要な技術をすでに持っています。例を挙げると、使う場所に最適な木材の選択、空気の通り道を自在にコントロールできる引戸や欄間(らんま)、日除けになる庇(ひさし)や軒(のき)、地域の気候風土に合わせた建築工法などです。

一方、自然エネルギーを活用するパッシブデザインに対して、自然とデジタルシステムを組み合わせたアクティブデザインという考えもあります。ソーラーパネルやセンサー付き照明、蓄電池、一元管理システムによる電化製品のモニタリングなどを指します。

政府のゼロ・カーボン推進によるZEH住宅(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)を実現するためには、パッシブデザインとアクティブデザインの融合が必要といわれています。今こそ工務店はパッシブデザインのスキルを存分に生かせるのではないでしょうか。

まとめ

コロナの世界的な流行によって、テレワークや時短勤務はすっかり定着しました。人々は自分の暮らしの見直しに関心を持っています。

工務店はいっそう顧客に寄り添い、新しい生活スタイルにふさわしい家づくりを提案することが活路となるでしょう。

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